この通りにやってみたらちゃんとポストに入ってた。お互い楽でいいね。

差出人:mkawase@dupont-.co.jp
日付:2017年3月21日 23:21:11 JST
宛先:DP システム開発2グループ
件名:【連絡】3月22日 午前休(河瀬(雅))

開発2グループ各位

お疲れ様です。河瀬(雅)です。

夜分遅くにすみません。急で申し訳ありませんが、明日午前休を頂きます。
ご認識ください。

>早川さん
10時からのミーティング、15時にリスケでもいい?




「すいません、ちょっといいですか?
あ、いや、違うんですよ。あの、今から僕、クレームを言いますね。
結論から言うと、配送事故なので保障してくれませんかという話です。
これ、昨日配達されてきた物なんですが、玄関というか、ポストの脇に置いてあったんですよ。
で、なんでかっていうと、ここ、わかります?住所の欄。『不在時可能であればポストの中へいれてください』って書いてるじゃないですか。
まあ最近、そのー、御社の色んな話、ニュースで聞くじゃないですか。さすがに配達の人も可哀想だなって思ってて。そしたらネットでこういう風に書くとポストに入れてくたり、まああと玄関先に置いてくれたりするから良いって聞いたんで真似したんですよ。あ、まあ別にお礼はいいです。僕も楽なんで。
で、これまで2,3回かな。この住所で配達してもらって、きちんとポストに入れてもらってましたと。ま、ちょっとはみ出したりしてたこともありましたけど、まあ別に気にならない程度でした。ただ、ほらうちって、玄関が道路に面してるじゃないですか。だから玄関先に置かれるのは少し嫌だったんですよ。だから『ポストの中へ』って書いたんです。
で、今回なんですけど。これ、一応電化製品じゃないですか。プリンター。
いや、僕も結構この電機屋のサイトで商品買うんですよ。前に買ったのはMicroSDだったんですけど。まあそれくらいならね、全然入るんですよ。うちのポストのサイズ、縦に長くてだいたいこんくらい、横はこんなもんなんですけど。だからMicroSDなら過剰梱包してても、まあたかが知れてるので。
でもこれ、プリンターじゃないですか。絶対入らないんですよ。それは買う前から分かってましたよ。だから住所のこの文言、意味ないって思うかもしれないんですけど、けどこのサイト使ったことあります?あ、まあじゃあAmazonとかでもいいんですけど、普通住所って使いまわすじゃないですか。前の設定そのままじゃないですか。
いや僕ね、正直この言葉迷ったんですよ。ここ、『可能であれば』ってところ。
ちょっと馬鹿にしてません?そんなの当たり前じゃないですか。入らなきゃ持って帰るに決まってるってわかってるんですよ。けど、場合によっては無理くり入れようとする人もいるかもな、って思ってわざわざ『可能であれば』って書いたんです。
でね、このプリンター、ここ見てください。ちょっと凹んでるでしょ。あとここも。これ、多分こうやって傾けて入れようとしたんじゃないかなって思うんですよ。試さなくてもわかるだろって思うんですけど、まあ書いてるしトライしたことはいいです。ただね、これやっぱり入ってないんですよ。
仮にですよ、『可能であれば』という言葉が抽象的であると、定量的でないと言うならね、例えば『入らなければ』という言葉ならいいんですかね?でも、例えば半分入って半分はみ出してるときに、それ『入ってる』って言っていいんですかね?結局判断分かれません?『(3/4以上ポストの中に入っている場合は入ったとみなす)』って書けないんですよ、住所欄、文字制限あるから。
そうすると、『可能であれば』と『入らなければ』の違いってなんなんですかね。だからそこって本質的な問題じゃないと思うんですよね。」




ドイツ法哲学界を代表する学者、アルトゥール・ハイドフェルド(1861-1930)は、著書『実践的法理念の存在論的証明』(通称「存証」)の中で次のように語っている。
「法理念は常に可能的世界へ投企している。我々はある種の企てとして、その傾向性を再解釈することで、ダーシェイン(直訳で”見透かす”。概念的な翻訳は未だ成されていない)していくほかない。それが、我々の生をより良いものとするほぼ唯一のことである。」(326頁)